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誰も見ないで

第10章 同棲


はぁ、とため息を吐きながら自分の行動のダメさを反省

すると「えへへ」と突然笑った瑞稀君が俺の頭を抱き締めるみたいに腕を回してきた


「……っ、なに、なんで笑うの……?」
「だって、嬉しいから。湊斗君が僕のこと好きなんだって実感出来て」


なにそれ


「……ずっと好きだよ?」
「うん」


胸が痛い
きゅって締まる


「瑞稀君が寝てても起きててもご飯食べてても歯磨いてても何してても、ずっと好き」


耳元に穏やかに響く瑞稀君の「うん」って返事に


「ちゃんとわかってる?」


なんて、拗ねたように言ってみる


「わかってるよ。でも、改めて言葉とか行動に移されると嬉しいの」


手が回せない
俺も瑞稀君のこと抱き締めたいのに


嬉しそうに笑い声を漏らす瑞稀君を、抱き締められなくて悶々とする俺


手洗いたいけど、洗い場まで行くには立たなきゃだし、立つには瑞稀君と離れなきゃだし

でも、離れたくないし


俺はせめてもの抵抗として、瑞稀君の胸にぐりぐり顔を押し付けた


「ふふふ、擽ったいよ」
「知らない」
「知らないって」


尚もくすくす笑う瑞稀君に、なんだか俺も嬉しくなってきて
暫くそんな風にのんびり抱き合ってた

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