誰も見ないで
第10章 同棲
それから電車で地元の駅まで帰った俺たちは、近くのスーパーでちょっと買い物をしてから漸く家に着いた
「ただいま〜」
買い物したものを床に置いて一息つくと、瑞稀君が後ろから
「おかえりなさい」
って返してくれる
今までずっと1人だったからか、こうやって言ってもらえるの嬉しい
それが瑞稀君だから余計に、すごく嬉しい
「瑞稀君もおかえり」
「ただいま」
目を合わせてちょっと2人で照れ笑い
それから買ってきたものを冷蔵庫に入れたりした
「瑞稀君お腹空いてる? まだ夜ご飯には早いかなぁ」
「流石にまだ空いてないよ。もう少ししてからにしよう」
夕方と夜の間みたいな中途半端な時間に帰ってきてしまって、余った時間を持て余す
でもなんだかこのゆっくりした時間が嬉しいよね
じゃあちょっとお昼寝しようって瑞稀君を引っ張ってごろん、と横になる
「暑い? クーラー入れる?」
「ううん、大丈夫」
俺の腕の中にすっぽり収まった瑞稀君がふ、と笑ってくれた
幸せ
学校で拘束される時間もないし、最高
ずっとお休みだったらいいのに
今日1日の疲労でうとうとしながらそんなことを思う
そのうち俺は寝てしまった
でも起きてからも変わらなかった瑞稀君との平和で幸せな生活は、本当に休みが終わるまで続いた