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誰も見ないで

第11章 侵略者


家への帰り道を歩く中で、悶々と1人考える


あの女の子のこと聞いてもいいかな
でも瑞稀君から言わないってことは言いたくないことなのかもしれないし

でもなぁ
気になる


隣を歩く瑞稀君は見た目には特に変化はない


どうしよう


迷って迷って
家に着くまでずっと迷って

そして結局


「ねぇ瑞稀君、さっき教室で一緒にいた女の子と知り合い? 何話してたの?」


俺は意を決して瑞稀君に聞いた

家に着いて鞄を下ろしていた瑞稀君がパッと俺の方を見る


表情がない
やっぱり聞いちゃいけなかったかな


不安になっていると、瑞稀君は


「ただのクラスメイトだよ」


と何でもないように言った

そして少し笑いながら


「僕が落としたものを拾ってくれただけ」


と言う


「そうなんだ。というか、あの子俺たちと同じクラスだったんだ……?」


自分の記憶力のなさに驚き半分呆れ半分でそう言うと、瑞稀君はなんでかすごく嬉しそうに笑った


「ふふふ、顔見てからも気づかなかったなんて、人の顔を覚えるのが苦手なの?」
「そ、それは……」


なんとも言えない


俺がはっきり言えなくなったことでまた瑞稀君が笑って
吊られて俺も笑った

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