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誰も見ないで

第11章 侵略者


なくなっていいとか悪いとか
そういうんじゃなくて


「んー……なんていうんだろ。もったいない? じゃないんだけど、モヤモヤする」


自分の気持ちをうまく表現出来ない

でももったいないって言葉が出るなんて俺ケチなのかなぁ


「大事なものとか関係なく、自分のものがなくなってることがショックなのかな」


うん
どっちかというとそれか


さっきよりもしっくりする言葉を見つけて、俺は1人で納得した


喪失感


これか、と思いながらため息を吐く


「……」
「瑞稀君? どうしたの?」


そこで、暫く黙ってた瑞稀君に気がついて声をかけた

するとびくっと肩を揺らした瑞稀君が俺の方を見て


「なんでもない」


と小さな声で言う


「? そう」


それから少ししたら元気のなさそうだった瑞稀君も元に戻ったから、特に何でとか聞く機会はなかった




そして、事件が起きたのはそれから更に数日後のこと


その日の5時間目が体育で、6時間目を受けるために着替えて戻ってきた時


「授業始まるぞー」


先生が声をかけながら入ってきたのを見て急いで教科書やノートを用意する

そして筆箱を開けると


「!?」


ない

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