
誰も見ないで
第2章 嫉妬
『ありがとうございます。頑張ります』
シンプルな文章でもあのかわいい顔と動きで言ってる紺野君が思い浮かんで、誰もいない家の中で1人笑顔になった
こんなに明日が楽しみなのなんて、いつぶりかな
小学生の時の遠足?
でも
違うな
それよりもずっと楽しみで、ドキドキする
「えへへ……」
俺は早く寝ちゃえば早く明日が来るって思って、晩御飯もお風呂も早々に済ませて布団に入った
次の日の朝早めの時間に家を出ると、普段は特に約束もしてないけど珍しく正樹と出会って
「おはよー正樹」
「おはよう」
一緒に行く流れに
正樹朝早いからなぁ
俺今日もすごい早く出たのか
「なんか、朝なのにすっきりした顔してるね」
「うん。昨日早く寝たから」
「そう」
そして2人で歩いていると、段々増えてきた制服姿の高校生たちの中に見覚えのあるシルエットがあった
あれ、紺野君じゃないかな
ちょっと遠いけど身長とか体型とか
「ねぇ正樹、あれ紺野君?」
「え?……いや、俺見たことないからわかんないよ」
「あ、そっか」
「あの人っぽいの?」
「うん……多分?」
気になったら気になり出しちゃって、紺野君らしき人を見つめながら歩く
