
誰も見ないで
第2章 嫉妬
うーんやっぱり
あれ紺野君だよね
すると隣の正樹が不思議そうな声を出す
「あの紺野君らしき人、誰かと歩いてる?」
言われてみれば、人混みで見え隠れする紺野君の隣には紺野君よりも大分身長の高い男の人がいる
「ほんとだ。同じ制服……ってことは、うちの学校かなぁ?」
「んー……? あの人俺知ってるかも」
「え、ほんと?」
知ってる、と言ったのは正樹
でもその正樹の眉間には深いシワが刻まれていた
「どうしたの、その顔」
「……やっぱりあれ、紺野君じゃないんじゃない?」
なに、急に
もう大分長いこと見てるから結構確信してたのに
「なんで?」
俺が聞くと、目を凝らすのをやめた正樹が嫌そうな顔をする
「隣歩いてるあの人、1つ上の問題児だよ」
「問題児……?」
「うん。ヤンキーって言ったほうがわかりやすいかな」
問題児……
ヤンキー……
「そんな人となんで紺野君が?」
「俺が知ってるわけないでしょ」
俺の頭に浮かぶ可能性としては、いじめられてるとかカツアゲされてるとか
嫌なものばっかり
「あっ……!」
「どうしたの? 湊斗」
「……なんでもない」
でも今
紺野君その人に笑いかけた
