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誰も見ないで

第11章 侵略者


『愚問だな。湊斗のファンが校内にうじゃうじゃいるからだ。過激化したファンの仕業か、湊斗に嫉妬した男の仕業かのどっちかだろ』
「……」


なんだ、ファンって

でも


「じゃあ最近色んなものがなくなるのはそのせい?」


呟いた言葉はしっかり電波に乗って届いたらしく、耳元で「は?」と真面目なトーンの正樹の声が響く


『他にも何かなくなってるのか?』
「うん。鞄につけてたキーホルダーに、タオルとか」


俺がそう言うと、正樹は俺に


『馬鹿!!』


と叫んだ


『何でそれをもっと早く言わないんだよ! それもう結構大変なところまで来てるだろ!?』
「ぅ、あ……え……ごめん」


そんなに怒られるとは


そこでまた正樹の大きな溜息を食らって、俺は弁解するために言う


「で、でも、最初になくなったキーホルダーはオマケで付いて来たやつだし、大分古いのだったからヒモが切れたのかもって思ったんだよ。タオルも家の中で変なところに置いたりすることがあるから、学校でもやっちゃったのかも、とか……っ」


うぅ、電話越しの沈黙が怖い


言い訳を散々言って
それでも続く正樹の怒りのオーラが怖くて俺はもう一度謝罪の言葉を口にした

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