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誰も見ないで

第11章 侵略者


「……ごめんなさい」
『湊斗は危機感がなさすぎる。今後はもっとちゃんと気をつけなさい』
「……はい……」



その後も少し続いた正樹のお説教に精神を削られてしまったけど、『シャーペンは俺も探しておいてあげるから』という最後の言葉に励まされた



それから俺のシャーペンが見つかるまでは大した時間はかからなかった

ある日の放課後、正樹が1人の女の子とたくさんの人の視線を連れて俺のところにやって来た


「湊斗、ちょっと来て」


正樹の後ろにいる女の子はずっと下を向いてて
身体の前で祈るように組まれた手は少し震えてるように見える

その人が何で連れてこられたのか全くわかってなかった俺は一緒に帰ろうとしてた瑞稀君も連れて、空き教室へと向かった


男3人に女の子1人
なんだかすごく虐めてるみたいな状況


そんなことを考えながら俺たちを呼び出した正樹が何か言うのを待つ

正樹はいつもの王子様を半分以上しまいこんで


「ほら、出して」


と女の子に告げた

一瞬ぴく、と肩を揺らした女の子はおずおず正樹の方を見上げる


「何してるの? 早く」


王子様がまたも引っ込んで、女の子は震える手で鞄を漁った

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