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誰も見ないで

第11章 侵略者


好きな人との思い出に


自分がその好きな人だっていうのは、イマイチ実感が湧かないけど

なんとなくわかるような気がした

瑞稀君とお揃いで買ったシャーペンが俺にとってはまさにそれだと思うから


でも慰めるために何て声をかけたらいいのかわからなくて困っていると、さっきまでしおらしくしていた女の子の態度が一変


「アンタが言ったんでしょ!!!! 裏切り者!!!!!」


突然大きな声で叫びだした

そのことにもびっくりしたんだけど
何よりも驚いたのは、女の子の怒りの矛先が向いていた方向


「紺野!!!! 絶対許さないから!!!!!」


突然指名された瑞稀君はびくっと肩を揺らしたけど、それは驚きによるものではなくて


「…………」


責任を追及されたことによる怯えだった


まるで悪いことをして親に怒られる子供のように身体を小さくする瑞稀君に、俺も正樹も驚愕に固まって何も言えない

そこで思い出した


この女の子
もしかしてあの時の……?


前に教室で瑞稀君と話していた女の子の記憶を探る

クラスメイトって言われてた女の子
「よろしくね」と締められた会話


女の子の顔は、正直全然覚えてないんだけど
瑞稀君のことは全部覚えてるから

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