誰も見ないで
第11章 侵略者
俺の声を聞いて、苦しそうに顔を歪める瑞稀君
俺も、苦しいよ
「……」
「……」
けど、長い沈黙を経ても瑞稀君は一向に口を開かない
「………………湊斗、俺一旦この子連れてく」
痺れを切らしたのか、女の子がいるから瑞稀君が話せないと思ったのか正樹がそう言って
「うん」
俺の返事を聞いた後女の子を連れて教室を出て行った
2人だけで残された教室には、また沈黙が続く
そして暫く後、ゆっくりと瑞稀君の口が開いた
「…………あの日」
こく、と喉が鳴ったのが自分の耳からも聞こえたような気がする
それぐらい、話を聞くことに緊張してる
「湊斗君を待ってた時に、あの子に話しかけられて……」
頭に職員室に呼ばれて席を外していた時間を思い浮かべた
「……取引しないかって、言われた」
「取引?」
ただの高校生にはあまり似つかわしくない単語に眉間に力が入る
「前、に……湊斗君と買い物に行ったのを、見られてたみたいで、仲がいいんでしょって……言われて」
言葉を選ぶようにゆっくり話す瑞稀君の言葉の1つ1つを噛みしめるように頭に入れていく
「……画像を、見せられた……」