誰も見ないで
第11章 侵略者
取引、と続いて出て来た理解出来ない単語に
「画像?」
とまた反応を返した
こくん、と頷いた瑞稀君
「電車の中で僕が湊斗君に寄りかかってた写真と……本屋さんで買い物した後に、湊斗君が僕に触れた写真……」
「……っ」
言われた言葉に息を飲む
言われた場面は記憶にある
撮られてた、なんて全く気がつかなかった
「それを見せられて、湊斗君と僕がホモだって学校中に言いふらすって……言われた」
頭の中で想像した俺たちのその画像は、完全に恋人同士だっただろう
だって実際に恋人だし、あの時は俺から瑞稀君が好きって気持ちが溢れてただろうから
「それが嫌なら、湊斗君の、何かを頂戴って……言われて…………それで…………」
「最初になくなったシャーペンを、あの子に渡した?」
想像以上に自分から発せられた声が冷え切っていて驚いた
それは瑞稀君もだったみたいで、目の前にあった瑞稀君の肩がぴく、と揺れる
そして少ししてから小さく頭が縦に振られた
「……」
それを見て、俺の内臓が砂のように崩れて地面に落ちていくような感覚に陥った
なんで、そんなこと
思った言葉は口から出る前に消えてしまう