誰も見ないで
第11章 侵略者
何て言ったらいいのかもうわからなかったけど、そもそも言葉を発するほどの気力もなくてまた沈黙に包まれる
そこに正樹が戻って来た
「何か話せた?」
そう聞いて来た正樹に答えるのには、ちゃんと言葉が出るのに
瑞稀君から聞いた話をなぞるように答えると、正樹は小さく溜息を吐いた
「やっぱりね」
事情をある程度予測していたらしい反応に、瑞稀君の頭がさっきより俯く
もうほとんど真下を見てるような状態だ
「警戒心が足りないから写真なんて撮られるんだろ。みんながみんな好意的に見てくれるような関係じゃないなんて、わかりきってるのに」
俺たち2人を責めるような言い方に、何の言い訳も出来ない
「まして湊斗は目立つんだから、少しは気使って動かないと同じようなこと繰り返すぞ」
「……はい」
父さんや母さんに怒られるよりもよっぽど堪える正樹の説教に、俺も瑞稀君と同じように俯く
すると正樹が瑞稀君の方へと歩く足が見えた
正樹は瑞稀君の目の前で立ち止まると
「でも今回のこと、何よりも自分が悪いってわかってる?」
と聞いた
話しかけられた瞬間に小さく反応した肩が、少し可哀想に思える