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誰も見ないで

第11章 侵略者


「わかって……ます」


小さく震える声で瑞稀君が答えると、正樹は表情を固くしたまま諭すように話した


「瑞稀君はもしかしたら、湊斗に変な噂が立つのを防ぐために守ろうとしてくれたのかもしれない」


正樹の言葉に、心臓が縮まったように苦しくなる


俺を、守るために


「でも結果として、瑞稀君のした行為は湊斗を傷つけただけだよ。なんで湊斗が傷ついたのかは、わかる?」


瑞稀君がこくん、と小さく頷く


「湊斗君、何か物がなくなるたびに、ちゃんと探してた……大切な物とか、大切じゃないとか、関係なく……しちゃいけないことだったって……わかりました……」


先生に怒られる小学生みたいに半泣きになりながら語る瑞稀君

でも、瑞稀君のその謝罪に正樹は首を横に振った


「それだけじゃないよ。このことが、あの子1人でやったことなら湊斗はここまで傷つかなかったんだ。誰でもない瑞稀君がやってしまったことだから、こんなに傷ついてるんでしょ?」


その言葉に瑞稀君も、俺も、ハッとなった


守ってくれようとした気持ちは嬉しい

でも、何かがなくなっていく喪失感には悲しい思いをした
それを瑞稀君がしたことだから余計に悲しいんだ

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