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誰も見ないで

第11章 侵略者


瑞稀君は目を潤ませた
けど、その涙は頬を伝うことはない

だって瑞稀君が必死で耐えてるから


その顔が俯いて、頭が深く下がった


「湊斗君、迷惑をかけてごめんなさい。僕の考えが浅はかでした」


声すら涙に潤む瑞稀君の姿を見て、俺はそっと近寄る


「……瑞稀君、今後何か困ったことがあったら、ちゃんと相談して欲しい。何も言われないまま俺の知らないところで瑞稀君が大変な思いをするとか、嫌だから」


俺の言葉に瑞稀君は頭を上げて、くちゃくちゃに歪んだ顔でこくん、と頷いた


「約束だからね」


俺はその顔に少し笑って、瑞稀君が今日まで苦しんだ分を自分の中に取り込むみたいに抱き締めた


触れ合ったところから全部わかったらいいのに


なんて、そんなことを考えながら


頭をゆっくり撫でると擦り寄るみたいに胸に顔を埋められて擽ったい

けど、この感覚すら愛おしくて俺は腕に力を入れて抱き締め直す


するとくぐもった声で瑞稀君がまた「ごめんなさい」と謝るから、俺は瑞稀君の頭にキスを落として「いいよ」と囁いた


こういう心の痛みと一緒に
成長していけたらいいよね

だってこれからずっと一緒にいるんだから

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