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誰も見ないで

第12章 侵入者


「それに関しては、ごめんまだわかんない」
「わからないってなに」


正樹が帰るのはいつでもいいでしょうよ


すると正樹は視線を前に戻して、少し俯きながら


「……ちょっと、エスケープ……させて」


と呟くように言った


エスケープ……って
確か逃亡とかそんな意味だっけ

正樹は何かから逃げてうちにいるってこと?


「……」


まったく
もう


「……わかったよ。その代わり、困ったことがあったらちゃんと俺に言うんだよ」
「うん、ありがと湊斗。……ふふふ、いつもと逆だな」
「ほんとだね」


と、和やかに2人で笑い合った

のはいいんだけど

結局瑞稀君と俺の仲が裂かれてることにはかわりないし
どうしよう


そんなままさらにもう1週間が経とうとした頃の休日
それは突然起こった


家でダラダラと過ごしていた時間に突然鳴り響いた家のインターホン


「はい」


と俺が出ると、受話器の向こうから聞こえて来たのは


『相原だ』


俺には聞き慣れない低音の声


「え、と……」


あいはら、あいはら……相原?
あっ、先輩!


暫く顔も見ていなかった先輩の姿が浮かぶ


「こっ、こんにちは!」

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