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誰も見ないで

第12章 侵入者


咄嗟に出た挨拶の言葉


『……』


でもそれに対する返事は返ってこない


ま、間違ったかな俺
でもそれ以外になんて言ったら……?


どうして先輩が俺の家に来たのか
それどころかどうして俺の家を知ってるのか

何にもわからなくて


「……」
『……』


暫く沈黙が続く


『おい』
「! はいっ」


すると突然声をかけられて、受話器をそっと置こうとしてたのがバレたのかと思って勢いよくまた返事をした


『開けろ、ここ』


指を指す相原先輩


あけろ……開けろ……
そこに何かあったっけ
ドア?


「あ、は……はい! すぐ行きます!」


言葉の意味を理解するのがいちいち遅くて申し訳なく思いつつ、受話器を置いてから小走りで玄関へと向かった

そして扉を開けると、モニターに映っていた相原先輩


「こ、こんにちは……」


さっき無視されたのに、また律儀に同じ挨拶をしてしまう

すると今回も華麗に無視をされて


「原正樹がここにいるだろ。出せ」


隠すとためにならんぞ、という副音声と共に聞こえて来た言葉に


もしかして正樹がエスケープしてたのは先輩からなんじゃ、と悟る

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