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誰も見ないで

第12章 侵入者


そしたら教えるのまず……


い、と最後まで俺が考えるより先に焦れたらしい相原先輩が俺の家に「邪魔するぞ」と入っていってしまった


「ちょ、え……っ」


慌てて追いかけると、最初に自分の部屋から出て来た瑞稀君と出くわす


「大和くん……?」


きょとん、とした顔の瑞稀君と先輩が見つめ合う

すると先輩は「ふん」と鼻を鳴らして、瑞稀君の頭にぽん、と手を置いてから家の奥へと進んだ


一瞬瑞稀君と目を合わせてから何だろう、と追いかけると、とうとうリビングでテレビを見ていた正樹を見つけられてしまう


「おい」


俺も瑞稀君も絶対にしない声のかけ方で、誰だかすぐにわかったのか正樹がビク、と肩を震わせた


「こ、こんなところでなに、して……」
「それはこっちのセリフだ。いつまで家に帰らないつもりなんだお前」


あの正樹が
あんなに動揺してる


2人の会話の内容よりもそっちの方が気になってしまって呆然と見守っていると


「あーもう、めんどくせぇな」
「え……っ、わ!? やめ、やめろ!!!」


ガシガシと頭を掻いた先輩がひょい、と正樹を担ぎ上げた

そして


「邪魔したな」


と言って、そのまま家から出て行ってしまった

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