誰も見ないで
第12章 侵入者
俺はもう呆然と2人が出て行った扉を眺めることしかできない
そんな俺に近づいて来た瑞稀君がぽそっと一言
「ちょっと強引だったかな」
と呟いたのが聞こえて
「え、今のーーー……って、ぇ」
今のどういう意味って聞こうとしたんだけど
その言葉を途中で遮らざるを得ない事態が起きてしまった
身体ごと振り返った俺の、胸のあたり
何かがぽすん、と当たって
それを縫い付けるみたいに身体に細いものが巻かれる
遅れてじんわり温かいのが伝わって来て
そこで漸く瑞稀君に抱きつかれてるって認識した
「み、ずきくん……?」
焦ったとか、そういうんじゃなくて
ただ単にびっくり
だって瑞稀君今までそんなに自分からくっついてくるようなことってなかったから
「……ん」
名前を呼んだことに対する返事なのかただ声が漏れただけなのかわからないほど小さな声が聞こえて、甘えるみたいに頭を擦りよせられる
か
かわいすぎ
今すぐぎゅーぎゅー抱きしめ返したい気持ちを何とか抑えて、瑞稀君の頭を撫でた
あぁ、我慢しすぎて手がちょっとぷるぷるしてる
優しく撫でていると、瑞稀君の顔が上を向いて目があった