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誰も見ないで

第12章 侵入者


俺の答えを聞いた瑞稀君は驚いたように暫く固まっていたけど、少ししたら身体から力を抜いてくたっと俺に預けてくれた

それが嬉しくて抱き締める腕の力を強めたら、もっとって言ってるみたいに擦り寄られて幸せな気持ちが高まる


「湊斗君に全然触れられなくて、本当に辛かった」


突然呟くようにそう言ったのは瑞稀君

でもその言葉に俺もだよ、と返すより早くまだあったらしい続きを話し出した


「けど、それぐらい自分のしたことがダメなことだったってことがわかったし、それに……」


言葉を区切った瑞稀君の汗で濡れた髪を指で梳きながら続きを待つ


「それに、僕も正樹君みたく……ううん、正樹君以上に湊斗君のこと守れる存在になりたいって思った」


瑞稀君が俺を見てる気がして視線を下げると、案の定目が合う

その視線に宿る強い意志に、俺は胸がきゅんと音を立てるのを聞いた


「……それは、すごく心強いね」


俺が笑うと、瑞稀君も花が咲いたみたいにふわっと微笑んでくれて


よくわかんないけど、涙が出そうだった


感動とかじゃなくて
なんていうか、心の中が色んなもので満たされて溢れてる感じ

いっぱいいっぱいで、どうしようもない感じ

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