誰も見ないで
第12章 侵入者
俺はそんな顔を見られたくなくて、瑞稀君の後頭部を持って自分の方へぐい、と引き寄せた
「そしたら俺も、瑞稀君のこと守れるようにならなきゃ」
そう呟いたら、瑞稀君が俺に回した腕にぎゅ、と力が入る
「もう、十分なぐらい守ってもらってるよ」
何か言った瑞稀君の呟き入る俺の耳には入らなくて
「ん? なに?」
「なんでもないっ」
聞き返したけど、瑞稀君は教えてくれなかった
「……ふぁ、ふ」
「ふふ、瑞稀君かわいい欠伸。眠い? お風呂入る前にちょっと寝ちゃおっか」
「……ん」
大きな欠伸をした瑞稀君の鼻を指で突きながら提案すると、瑞稀君は小さな返事の後もぞもぞ動く
俺の腕の中で位置を調整し終わると
「おやすみ、なさい」
と目を閉じた
「ん、おやすみ」
瑞稀君の頭にちゅ、とキスを落として俺も声を掛けると、瑞稀君の目が薄っすらと開いて
「……っ」
一瞬だけ蕩けるような笑顔を向けられた
なに今の……!!!
かわいすぎるでしょ
その笑顔にやられて、寝られないまま暫く瑞稀君の寝息を聞いていたのは瑞稀君には秘密
俺だって眠かったのに
全部飛んでっちゃった……