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誰も見ないで

第13章 好きになんて(サイドストーリー2)

原正樹目線


数学準備室から俺を連れ出した相原大和は途中でイラついたように俺の口元にあったネクタイを外してゴミ箱に捨てた

混乱した頭では


あぁ、俺のネクタイ置いてきちゃったな


とかぼんやりしたことしか考えられない

そうこうしているうちにどこかの空き教室に連れてこられた俺は、脱がされてはいないもののボタンを外されて羽織っていただけになっていたワイシャツを相原大和にぐいと開かれた


「!? なにす……っ」


るんだ、と最後までは言えなかった

相原大和の視線があまりに鋭いものだったから

息を飲んだ俺に気づいているのかいないのか、相原大和は心底不機嫌そうに眉を寄せて舌打ちした


なら見なければいいのに

俺だって……


脳裏に思い浮かぶチラッと見えた自分の胸元には、不愉快なことにあの教師からつけられたキスマークがいくつもある

それが胸の先端を中心にたくさんつけられているのが余計に腹立たしい

思い出すだけで心臓の中の血液が沸騰しそうだ


そんなもの見られて
俺にどうしろって言うんだ


俺が奥歯を噛み締めていると、相原大和はさっきの行動とは反対に今度は俺のワイシャツのボタンを留め始める

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