
誰も見ないで
第13章 好きになんて(サイドストーリー2)
黙るなよ……!!!
言いかけたんならそのまま続き言え!
ヤケクソになりつつ理不尽な理由で怒っていると
「ひゃ!?」
耳元に柔らかい湿った感触と共にちゅ、というリップ音が響く
思わず高い声が出てしまって相原大和から離れようと暴れるけど
「暴れんな」
相原大和にがっしり押さえ込まれて動けない
「ちょっ……離して下さ……」
「嫌だ」
嫌だ!?
意味がわからない……!!!
楽しそうな声に少し苛立ちつつも、暴れても無駄だと諦める
すると抱き直すように相原大和がもぞもぞ動いた後、ふぅと息をついて
「理由、教えてやろうか」
と言った
理由?
なんの……って、あぁ
なんで怒るのってやつか
もうどうでもいいよ
とは思ったけど、俺がいいですって言うより早く相原大和は話し出した
「放っとけねぇんだよ、お前」
「……は……?」
なんだその理由は
「外面ばっか作って無理してんのも、他人に優しすぎんのも、全部……すげぇ、目について……」
目障りってことじゃなくて
放っとけない?
それって……
顔が熱い
さっきまで嫌がってたくせに、今は抱き締められてるこの状況が顔を見られなくて幸運だと思ってる
