
誰も見ないで
第13章 好きになんて(サイドストーリー2)
歯磨きをした状態で喋ると口から泡が出て行きそうで出来ず、ぱっと振り返ると
「じっとしてろ」
と頭を前向きに戻された
「……」
大人しくされるがままにしていると、髪を櫛で掬ってはドライヤーに当てる動作を繰り返している
そして頭全体そんなことをされて、終わったかと思ったらまだ後ろで何やらごそごそと動く
すると
「!」
今度は全体をぐしゃぐしゃとかき混ぜるように両手で頭を撫でつけられた
な、なんなの本当に
髪の毛のセットをしてくれてるっていうのは途中からわかってるんだけど、やるならやるって言って欲しい
突然こういうことされるとびっくりする
「おし、いいぞ」
そう言った相原大和に、洗面所の場所を説明されてから立ち上がる
1人廊下を歩いて洗面所に着くと
うわ
髪型を見て驚いた
自分でやるよりもはるかに上手い
自然だけど、すごく清潔感のある髪型に軽く手を触れる
でも俺が触ったら崩れそう
そっと動きながら口の中の歯磨き粉を流して元の部屋に戻ると、相原大和が自分の髪の毛をセットしていた
普段からやっている分慣れているらしく、手早く終えた相原大和は「行くか」と立ち上がる
