
誰も見ないで
第13章 好きになんて(サイドストーリー2)
荷物を用意して
玄関で靴を履いて
外に出て
こうして俺の初体験と、初めてのお泊まりは終わった
「おはようございます、原先輩!」
「正樹君、おはよ!」
「正樹おはよー」
一緒に歩いていたはずなのにいつの間にやら俺のそばからのいなくなっていた相原大和を何となく視線で探しながら歩いていたら、挨拶の声が聞こえて来てしまった
「おはよう」
と返す傍、相原大和の存在をまだ探すけど
「何キョロキョロしてんの?」
と隣を歩いていた女の子に聞かれてしまって探すのをやめた
いつも通り教室に入って
いつも通り授業を受けて
まるで朝までのことなんてなかったみたいだ
でも
「今日の髪の毛かっこいいね」
と度々言われて、その度に相原大和の存在を思い出すし
「ここの文章ではこの単語がここにかかるからーーーー」
「……」
授業中もたまに香る俺の普段使っているのとは違うワックスの匂いにも存在がチラついて
「はぁ……」
なんだかそわそわして落ち着かない1日になってしまった
それともう1つ
「正樹君、ここ教えて欲しいんだけど」
「正樹君〜これ重いの持つの手伝って?」
と人に頼られ
「見て、原先輩! かっこいい……」
「ほんとだぁ、あーすごい目の保養」
人に見られるのが、なんだか苦しく感じた
