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誰も見ないで

第13章 好きになんて(サイドストーリー2)


それでも長年かけて作り上げた仮面を外せずに、人前ではいつも通り笑えるから不思議だ


「せ、先輩がこっち見てる!」
「きゃー! 笑いかけて貰っちゃった!」


少し目が合ったから笑いかけると、遠くで悲鳴に近い声が上がる

それを不快だなんて今まで少しも思ったことなかったのに


「正樹君? 行こ?」


授業の当番で提出物を一緒に運んでいた女の子が俺に声をかける

少し頬を膨らませているのは、小さな嫉妬心があるからだろう


今まではそんなことも、可愛いなって思ってたはずなのになぁ


「うん。ごめんね」
「あんなに露骨に噂しなくてもいいのにね?」


同意するわけにもいかずに苦笑いを浮かべて視線をふと前に向けると


「!」


前から相原大和が歩いてきた

欠伸をしながら堂々と廊下を歩く相原大和がふと俺の方を見る

目が合ったけど、すぐに逸らされてしまった


なんで


朝いつの間にか消えてしまったのはなんで、とか色々と聞きたいことはあったんだけど


「……」


何故か拒否されてるような雰囲気があって

俺は黙って相原大和とすれ違った


「うわぁ、相原先輩今日は来てるんだ」

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