
誰も見ないで
第13章 好きになんて(サイドストーリー2)
そう呟いた女の子がお互いにノートを持った腕が触れそうになるほど近くに寄ってくる
「怖かったね」
か弱い女の子
上目遣いで強調される大きな目
ほら、また
可愛い、よりも
怖くなんてないのに、なんて
擁護するような感情ばっかりが出る
俺はまた何を言うでもなく苦笑いを浮かべて
「そっち重くない? もう少し俺が持とうか」
と話題を無理やりすり替えた
「えーいいの? 重くない?」
「大丈夫だよ」
「ありがとぉ」
俺が微笑むと赤く染まる頬に漸く可愛いって感情が浮かんで来て、少しホッとする
「行こっか」
「うん!」
先生にノートを提出して、後はもう教室に戻って帰りのHRを受けるだけなんだけど
「……」
「正樹君? 戻んないの?」
「ーーーごめん。先に戻ってて」
どうしても、相原大和が気になって
俺は女の子に一言告げると踵を返して駆け出した
「えっ、え?」
戸惑った女の子の呟きが聞こえたけど、今はごめん
戻って何か言ってあげられない
「はぁっ、はぁっ」
さっき向かってた方向的に3年生の教室?
階段を登りつつ
いや、違う
屋上か
と思い直して3年生の教室があるところを通り過ぎて更に登った
