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誰も見ないで

第13章 好きになんて(サイドストーリー2)


普段昼休みにしか開放されていないはずの屋上へ出る扉の前に立つ

ゆっくり取っ手を持って回すと、阻むものもなく回し切ることが出来た


開いてる


重い鉄扉を押し開けると、突然入って来る風で前が一瞬見えなくなる

風が落ち着いて、しっかり目が開けられるようになると


いた!


屋上の端の柵に寄りかかって座る相原大和の姿

眠ってるみたいだった相原大和は、扉が閉まる音で目を開いた


「あぁ、お前か」


そして俺の方を見てふ、と笑う


その様相はさっき「怖い」と面識もないであろう女子生徒に言われるようなものとは思えないほど、柔らかく優しい雰囲気を纏っていた


「……こんなところで何してるんですか」


俺が歩いて近づきながらそう聞くと、相原大和は気持ちよさそうに目を細める


「昼寝?」
「もう放課後ですよ」
「そうだな」


眠いからなのか、いつもよりもゆっくり話す相原大和に何だか俺も心が落ち着いて来る


あ、そっか
そうなんだ


そして、心の奥にすとんと綺麗に収まるように理解できたことが1つ


俺、今日1日学校でずっと気を使ってたんだ
それがなんでか
この人の前だとどうでもよくなる

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