誰も見ないで
第14章 文化祭
一度気になったことはどうでもいいことでも聞いておこう
と思って瑞稀君に話しかけたのはお昼休み
いつも通り屋上でお弁当を食べている時だった
「ねぇ瑞稀君」
「なに?」
瑞稀君が卵焼きを口に含みながら首をかしげる
瑞稀君の卵焼き美味しいよね
ちょっと甘いの
ってそうじゃなくて
「今日の文化祭の話し合いの時さ、どうして賛成にも反対にも手を挙げなかったの?」
俺の質問に瑞稀君が気まずそうな顔をする
まさか見られてるだなんて思ってなかったんだろう
まぁ確かに、自分でも目敏いって思うけど
「どうして?」
俺がもう一度追い討ちをかけるように聞くと、瑞稀君は観念したように一旦お箸を置いた
「ちゃんと意思表示しなかったのは、いけないことだってわかってるんだけど」
あ、別に責めてるわけではないのに
そう取られちゃったかな
「どっちにも、決められなかったから……」
自分の言葉の意味をちゃんと説明しようかと思ったところで、瑞稀君の口から出た言葉に驚く
「決められなかった?」
どうして
まさか執事服着てみたかったってことはないよね
コスプレの趣味でもあったのかと思いつつ続きを待つと、返ってきた答えは俺の想像とは全く違った