誰も見ないで
第14章 文化祭
あと、こんな時に言うのもなんだけど
1つだけ言いたい
「それとね、好きな女の子って聞かれたけど、俺が答えたの瑞稀君のことだから」
「え……」
驚いた顔してる
「黒髪で、素直な人って。だってもう女の子とか、何とも思わないから好みとかわからないんだもん」
すり、と顔を擦り寄せると瑞稀君からはいい匂いがして、胸がきゅんと鳴る
こんな風になるの
後にも先にも瑞稀君だけだよ
絶対
「……僕……の……」
俺の言った言葉をゆっくり理解している瑞稀君は、まだ呆けた顔をしている
けど理解していくと共に赤くなる顔が間近で見られて、なんだかすごく得した気分だった
「そう。瑞稀君が好み。というか、瑞稀君が好き」
鎖骨にキスを落とすと白かったそこが赤く染まる
そんなことを楽しんでいたら
「……っ、もう」
弾かれたように突然動いた瑞稀君が俺の頭をぎゅっと強く抱き締めた
「僕も、湊斗君のこと、好きです……」
「うん」
俺が笑った声は瑞稀君の服に吸い込まれていく
くぐもった声がなんだか面白い、と思っていたらふと瑞稀君の身体が離れて
「!」
ちゅ、とキスをされた