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誰も見ないで

第14章 文化祭


「はぁ……」


小さな溜息を吐きながら個室を出て手を洗って、教室に戻る

すると


「!」


あれ

あの女の子今
瑞稀君の席から離れていったみたいに見えたけど


自分の席へと戻っていく生徒たちの中に、瑞稀君と話していたみたいに一瞬見えた子が1人


でも今まで1回も見たことないし
偶然そう見えただけかも


その時は深く考えずに流していたけど
次の授業と授業の間の休み時間に




やっぱり、瑞稀君と……?


瑞稀君の席へと寄っていく女の子の姿


「渡辺君」


しかしそれをじっと見ている余裕は俺にもなく


「木下さん……」


やはりまた近寄ってきた木下さんに手を焼いてしまう


本当は何話してるかとか
頑張れば聞こえそうなのに……!!


「それでねーーー」


近いところで話しかけられ
聞いていない風に見えようものなら


「聞いてる?」


と俺の様子を伺ってくるから気を抜けず


結局仲よさそうに話していることを確認するだけで終わってしまった


国語の授業が始まって、先生の話を聞き流しながら瑞稀君に話しかけていた女の子をチラッと見る


名前
覚えてたような気がするんだけど

なんだっけ

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