誰も見ないで
第14章 文化祭
そして俺をぎゅ、と抱き締めてくれる
「好き。だいすき」
瑞稀君の言葉に、胸がツキンと痛んだ
「俺も好きだよ。大好き。だから……ごめん。何も出来なくて」
情けなさに涙が出そう
過去に戻ってやり直せるなら
俺が全部、ちゃんと、守るのに
瑞稀君の全部
でも、俺の後悔とは裏腹に瑞稀君は俺に謝らないで、と言った
「謝らないで。湊斗君は悪くないよ。湊斗君のせいで小川さんがあんな目に合ったわけじゃないから」
「でも……」
俺が、あんな中途半端な否定の仕方しか出来なかったから
小川さんは瑞稀君のことが好きなんだって、あの時木下さんに言っていたら
もしかしたら
そんな考えばっかりが頭を巡って離れない
けど瑞稀君はそれをわかってるみたいに俺を優しく抱きしめる
「大丈夫。僕たち2人で考えれば、木下さんのことも小川さんのこともきっと解決できるよ」
ね、と俺に笑顔を見せてくれる瑞稀君
俺を落ち着かせる笑顔に
俺も後悔ばっかりしてないで、今から何が出来るか考えなきゃ
と思い直した
「うん。そうだよね。今からでも、2人のことちゃんとしなきゃ」
木下さんには諦めてもらって
小川さんへのイジメをやめて貰う
出来るなら……小川さんにも、諦めて貰う