テキストサイズ

誰も見ないで

第14章 文化祭


けど、今日は木下さんはいつもと様子の違う俺を気にしてばっかりで特に何もしていない

ように見える


いい感じ……かも……?


上手く視線を反らせてればいいな


お昼休みまでは何もなく、小川さんも楽しそうに友達と喋ったりして過ごしていた

もちろん俺も、木下さんが何か変な行動を起こしてないかって気にしてた

はず

だったのに


「あれ? 教科書が……ない……」


そんな小さな呟きが聞こえてきたのは午後の授業が始まる直前のこと

他の生徒は特に気にしてないみたいだけど、様子を伺ってた俺はすぐに気がついた


なに……
なんで


焦った俺はすぐさま木下さんの方を見るけど、木下さんは特に何でもないように次の授業の支度をしている


午前の授業から俺が目を離した時間なんて殆ど無いし、休み時間も俺の方を気にする木下さんを見てたのに

なんで
いつ……?


すると、ポケットに入れてた携帯が震えた

先生が来る前に早く、と手早く取り出して確認するとメールを受信した通知

送り主は瑞稀君で


『小川さんの、気がついた?』


とだけ

瑞稀君もびっくりしたんだろう


『全然気がつかなかった。いつだろう』

ストーリーメニュー

TOPTOPへ