誰も見ないで
第14章 文化祭
メールの返信を送ると同時ぐらいに先生が教室に入ってきてしまって、急いでポケットにまた仕舞った
いつ
ずっと見てたわけじゃ無いけど、目を離した一瞬の隙を突いて小川さんの席に行って教科書をどこかに隠してって
流石に無理だよね……?
そこまでして小川さんのことイジめたいの
心の底の方から湧き上がってくる焦りが、少しずつ怒りへと姿を変える
もっとちゃんと気にして見てなきゃだめだ
教科書がなくなってしまって隣の人に見せて貰ってる小川さんを見ながらそう考える
けど、次の日も
小川さんが声を上げなかったから誰も気づいてないかもしれないけど、いつの間にか小川さんの机の上から筆箱が消えていて
気がついた時には友達からシャーペンを借りて授業を受けていた
そんな風にだんだんものがなくなっていくのに、俺も瑞稀君も木下さんがやってるタイミングが全くわからない
放課後に出来てしまうようなこともあれば、本人が毎日家から持ってくるような物にいつの間にか悪戯されてたりもして
最終的には
「うわ、なんだこれきたねぇ」
「? つーかこれ……小川のじゃねぇの?」
「ほんとだ。名前書いてある」
油性ペンで落書きをされ、またお弁当をひっくり返したように食べ物で塗れた教科書や筆箱が教室のゴミ箱に捨てられていた