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誰も見ないで

第14章 文化祭


やっぱりまだ
好きなんだ


それを改めて確認させられて、気持ちが落ちる


俺だってもちろん気持ちは負けてない
負けてないけど

でも、あんなに瑞稀君のことを思ってくれる女の子がいるのに
俺でいいのかなって嫌でも考えさせられる


そうやって考えてしまうことにも自己嫌悪に陥って、俺は誰にも気づかれないようにため息をついた


「渡辺君、こっち来て!」


実行委員に呼ばれて自分の配置につくと、俺は気を引き締めるために軽く頭を振って考えを振り払った



文化祭は天候に恵まれたせいもあってか大盛況で、生徒に加えて保護者や近所の人や受験を考えてるらしい中学生で校内は溢れかえった

俺のクラスはその中でもトップレベルに混雑していて、午前中の接客だけで声が枯れるほど


「渡辺君休憩!」
「……はい……」


芸能人ってこんな感じなのかな
目の前でカメラ向けられて無断で撮影されたりとか、辛い

一緒に休憩に入った数人と衣装を着替えて次の交代までにどうしようかな、ととりあえず教室を出る

すると


あれ……


俺と同じ時間に休憩なはずの木下さんが廊下を歩いているのが見えた

ぼーっとみていたその光景を一拍遅れて脳が再生して、木下さんの隣にいたのが小川さんだったことに気がつく

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