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誰も見ないで

第14章 文化祭


え、うわ
やば


普段ならありえない組み合わせで歩く2人はもう人混みの中に消えてしまっている

なんとか追いかけなくちゃ、と俺は追いかけるように足を動かした


歩いて行った方向へ俺も歩きながら行き先を考える


この方向だと、3年生の教室か各部の展示のある部活棟か

でも文化祭を2人で楽しもうってことにはならないだろうし

となると


俺は今回展示をしていないため立ち入り禁止になっている特別教室の集まっているところへと足を向けた

しん、と静まり返ったそこは文化祭の喧騒が遠くに聞こえるから余計に静まって感じる


ハズレかな
誰もいない


各教室をちょっとずつ覗きながら歩いていたけど2人は見つからず、じゃあ別のところかと思った直後


「ーーー!」


誰かの声が聞こえた

その方向を辿っていくと、ゴミ捨て場のある校舎裏に続いている

校舎の端に外へと出られる扉があって普段はそこから出てゴミ捨てに行くんだけど、当然文化祭の今日はそんなところに人がいるわけない

いるわけないのにいるってことは……


俺はそっと扉に手をかけてゆっくりと力を込める


キ、と小さな音を立てて開いた扉が音を遮断しなくなると人の会話が鮮明に聞こえて来た

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