
誰も見ないで
第2章 嫉妬
「渡辺君とすごく仲が良さそうに見えたので……つい……僕よりも大切な人が出来たんじゃないかって……」
そう言って心底安心したようにほっと息をつく紺野君を見て、なんだか胸のあたりがぎゅ、とした
けど、それなら俺にも聞かなきゃいけないことはあるから
「紺野君が一緒に来てたのは……誰、なの?」
と俺も意を決して聞いた
すると紺野君はふふふ、と突然笑い出す
な、なに……
「幼馴染です。近所に住んでて、僕は帰りは待ち合わせてないんですけど、朝は一緒に来て貰ってるんです」
おさななじみ
そう聞いて、俺もさっきの紺野君みたいにほっと息をつく
「……良かった……なんか、紺野君が俺以外の人と話してるの見たことなかったから……ちょっと胸がモヤモヤしちゃった……」
つい顔が緩みながらそう言うと、紺野君が「それって……」と言いながら俯いてしまった
「?」
やっぱりこんな風に思うの変だったかな
引かれちゃった?
嫌われたりしたくないのに
「ごめんね。変なこと言って……」
慌ててそう謝ると、紺野君は顔を上げて
「いえ、嬉しいです」
って言ってくれたんだけど
「!」
その時の顔がかわいすぎて
今度は俺が顔を晒す番になってしまった
