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誰も見ないで

第14章 文化祭


距離が近いから、瑞稀君が唾を飲んだのが振動でわかる

なんだか瑞稀君の考えてることまで手に取るようにわかる気がして


いつもこの距離にいれたらいいのに


なんて思っていた

すると瑞稀君が俺の胸に手で触れて


「…………嬉しい」


と呟く


「瑞稀君は?」
「え?」
「瑞稀君は……誰のものなの?」


あまりに嬉しそうな瑞稀君が羨ましくて

俺にも、と強請るように意地悪な聞き方をする

瑞稀君は恥ずかしそうにちょっと俯いて、その後俺の肩に手を置いた

その手をぐ、と下がるように力を入れられて


座れってこと?


と俺は膝立ちの体勢になった

その俺の頭を
瑞稀君が優しく抱き締めてくれる


「僕も…………僕の全部も、湊斗君のものだよ……」


トクン、トクン、と鳴る心音が少し早くて
それに吊られるように俺の心音も早くなっていく


「……もっと」
「?」
「もっと近くで、聞かせて」
「!」


俺が言ってる意味がわかったのか、瑞稀君の身体がびくんと揺れる

プツ、と1つ1つボタンを外して
着ていたベストも、シャツも脱がせて

露わになった肌は相変わらず真っ白

そこに耳を寄せると、さっきよりも早い音が聞こえた

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