誰も見ないで
第14章 文化祭
瑞稀君は一瞬びっくりしたような間を取った後
「僕も、大好き」
と言ってきゅ、と腕に力を込めてくれた
かわいい
かわいい
なんだか甘やかしたいスイッチが入ってしまった俺は、えっちな意味じゃないキスを色んなところにした
髪に触れて
頬を撫でて
全部に優しく触れる
文化祭の喧騒なんてとっくに耳に入ってなくて
たまに瑞稀君が擽ったそうに身をよじるのとか、小さく笑うのとか
そんな声を頭の中に必死に保存した
気がつけば文化祭は一般開放も終わりの時間
「午後のシフトサボっちゃったね」
俺の言葉を聞いて、瑞稀君は何故か俺の頬に触れてくる
「いいよ。あんな見せ物みたいなの、嫌だ」
たしかに
「そうだね。瑞稀君かわいすぎて心配だったし」
「え!? ち、違うよ。湊斗君が格好良すぎてって意味だよ?」
お互いに考えのすれ違いを知って、目を合わせたまま一瞬止まる
それから2人で笑い合った
「俺たち、お互いに心配しあっちゃってたんだ」
「うん」
笑って
そして
「同じ考えで嬉しいから、お互いに気をつけようね」
って言った瑞稀君の言葉に「うん!」と俺は強く頷いた