誰も見ないで
第14章 文化祭
瑞稀君が小川さんに何かされそうになったら助けられるように、と俺は気を抜かないようにじっと見守る
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、瑞稀君は尚も小川さんに語りかける
「だって小川さん、僕が小川さんから告白されたって絶対に受け入れたりしないってわかってたよね?」
小川さんの足がふ、と止まる
「もしかしたら本当は、僕と湊斗君の関係にも気がついてたんじゃないかな」
そう言われて気がつく
俺と瑞稀君は教室で休み時間の度に話すような感じではなく、お昼休みに一緒にご飯食べたりするくらい
しかも誰もいない屋上で
確かに出会ったばっかりの頃みたいに頑なに関係を隠すようなことはしてないけど、それでもそこまで仲がいいなんて思えないはず
俺たちをよく観察していない限りは
それなのに小川さんは瑞稀君のことが知りたいって俺に話しかけてきた
どんどんと噛み合って行く辻褄が、瑞稀君の予想が真実なのだと告げているようで
「……」
俺は黙って小川さんの反応を待った
そして小川さんの口から漏れた声は
「なんで……」
と呟くような小さなもの
でもその小さな何故、にも瑞稀君はちゃんと自分の考えを示す