誰も見ないで
第14章 文化祭
それ以上に伝えたい気持ちが見つからなくて
語彙力も何もないような発言を繰り返す
すると
「僕も、大好き」
と返してくれた
瑞稀君の雰囲気を汲み取って身体を少し離すと、襟足の髪を瑞稀君の小さな手が触って
「庇ってくれてありがとう。ごめんね」
と謝られた
「ううん。瑞稀君にかからなくて良かったよ」
「でも、せっかく綺麗な髪……傷んじゃうって……」
ショボン、と肩を落とす瑞稀君に戯れるようにキスをして
「!」
「いいよ。襟足なんてそんなに長くしないから、きっとすぐ切っちゃうし」
それに
俺の背中から首元にかけてペンキかけられたってことは、瑞稀君にかかってたら本当に頭からがっつりだもんね
首についたやつを落として貰っただけでヒリヒリするのに、瑞稀君の顔とかにもかかってたらって思うとゾッとする
よくやった、俺
「でも……」
心の中で自分を褒めていると、瑞稀君はまだ納得できてないみたいで俺の髪を気にしている
かわいい
「じゃあさ、謝る代わりにたくさん撫でて?」
「撫で……?」
「それ、さっきから触ってくれてるの、気持ちいいから」
「……それで代わりになるの?」