誰も見ないで
第14章 文化祭
「そうか。まぁ今回のことは……そうだな、お前達に非はなかったとはいえ、こういったことが今後またないとも限らないから」
「はい。気をつけます」
相当な何かがあったんだろう
疲れ気味の先生に迷惑をかけてしまったことを謝罪すると
「悪いな。こうなる前に気づいてやれなくて」
と逆に謝られてしまった
それから今日教室にいなかった木下さんと小川さんはどうしたのか、と聞くと
「小川は今回の件で自宅謹慎、木下はただの体調不良だ」
と教えてくれた
「とりあえずこの話はこれで終わりだ。片付けに戻ってくれ」
「はい、失礼します」
「失礼します」
職員室を後にして誰もいない廊下に出ると、俺たちは2人目を合わせた
これでよかったのかな
そう思いを込めて瑞稀君の目を見返すと、瑞稀君は誰もいないことを確認した廊下で俺の手をきゅ、と握った
「僕としては、今回のことで小川さんを許すのは難しいから……厳しい処分で、納得、した……」
瑞稀君の中で渦巻く酷いことを考えてる、という自己嫌悪が表情から透けて見えて
俺は心臓を掴まれたように苦しくなった
「俺たちも自宅謹慎だったら、家でゆっくりできたのにね」