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誰も見ないで

第15章 そんな時期


「ただいまー」


結局家に帰って来てしまった


「俺が冷蔵庫にしまうから、着替えて来たら?」


と言ってくれた湊斗君の言葉に甘えて


「じゃあ鞄持って行くね」
「ありがと」


湊斗君の鞄を持って部屋の奥へ


お互いの鞄の中から空のお弁当箱を取り出そうと開けて湊斗君の進路調査票が目に入る


まだ真っ白……


何も記述されていないそれに、まだ決まってないのかそれとも書いてないだけなのかと考えてしまう

けどすぐに


だめだめ

人の鞄を漁って勝手に、なんてもうだめ
絶対だめ


と過去を思い出して自分を戒め、鞄を仕舞った


それからご飯を食べて
お風呂に入って
湊斗君とテレビを見たりして

明日も学校だから寝ようかってなってもまだ、僕の頭は進路のことばっかり考えてた


どうしたらいいんだろう
大学
就職

暗くされた部屋の天井を眺めながらそんなことを考えて


……眠れない


ゴロン、と寝返りを打つと湊斗君がいて

少しだけホッとする反面、こんな風に立ち止まってるようじゃきっとすぐに置いていかれてしまう、と焦る気持ちも湧く


次のお休みに相談してみよう
きっと聞いてくれるはず

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