誰も見ないで
第15章 そんな時期
「随分長話だったね?」
何気なくそう聞くと
「ーうん。なんか余計なこと話してたら長くなっちゃった」
と笑った
今、一瞬
ほんの一瞬だけ
間があったような
気のせいかな
気にしすぎ?
寒いよーと僕の膝掛けに脚を入れてくる姿は特に変なところもなく自然で
勘違いかな、と思い直す
そんなことよりも
僕は湊斗君に相談しないといけないことがあったんだ
「ねぇ湊斗君」
「なに?」
「今日はどこか行ったりする予定ある?」
一瞬考えるような間があった後
「ないと思うよ。特に何かやりたいことがあるわけでもないし」
と答えた
「そっか。あの、ね……相談が、あるんだけど」
僕の言葉に猫が耳をピク、と動かすように素早く反応した湊斗君
何か嫌なことや悪いことがあったんじゃないかって想像したみたいで
「なに?どうしたの?」
ちょっと顔を青くしながら不安そうに聞いてきた
「この前進路調査の紙配られたでしょ? あのことで……」
僕がそう言うと安心したのか
「あー……そっか。うん。それならいくらでも聞くよ」
と笑ってくれた
こんなにかっこいいのに、僕の言葉1つでコロコロ表情を変えてくれるのがすごく嬉しい