誰も見ないで
第15章 そんな時期
「ありがとう。僕……ーーー」
それから、簡単なことなのになんだか上手く言葉が出てこなくなってしまいながらも一生懸命自分の考えを湊斗君に伝えた
思っていたよりもずっと長くなってしまったけれど、湊斗君はずっと黙って聞いてくれて
優しいな
と改めて実感した
「ーーーどう、思う?」
僕の最後の問いに湊斗君は
「うーーん…………」
と真剣に悩んでくれる
「就職、は……確かに瑞稀君の状況を考えたらするべき選択なのかと思う。けど、長く見て考えるなら進学した方がいい、けど……うぅん……」
僕よりもずっと苦しそうに悩む湊斗君に、思わず笑いそうになってしまう
嬉しいな
「瑞稀君は、進学して学びたいこととかやりたいことはあるの?」
「学びたいこと……」
自分の好きな教科の中でも、勉強してみたいことはある
そう答えると、湊斗君は
「それなら、進学するべきじゃないかな」
と言った
「お金がどうしても払えないってわけじゃないなら、4年間勉強してみたいことを勉強してみてもいいと思う」
進学……
「高校からの就職で選べる道は限られてるから、そこにやりたいことがあるなら別だけど、まだ勉強したいことがあるなら行ったほうがいいよ」