誰も見ないで
第15章 そんな時期
力強い言い方に
湊斗君は進学するのかも、なんて思う
「やりたいことをやることだけが全てじゃないけど、最初に目指す目標は誰だってきっと必要だから。やりたいことや勉強したいことがあるなら、まずはそっちを目指してみた方がいいよ。きっと」
自分にもやりたいことや目標があるから、きっとこういう考えに至るんだろうって
湊斗君の考えに動かされて
僕の心は完全に進学の方向へ動いた
母さんだって、進学すると思ってお金を残してくれたんだろうし
「うん。もうちょっと自分でも考えてみるけど……今は進学、したいなって思う」
靄が掛かったような未来を想像するのは難しいけれど、湊斗君と一緒ならなんとかなる
ような気がする
「ありがとう」
僕がお礼を言うと「良かった」と湊斗君は息を吐いた
「全く的外れなこと言ったりしたらどうしようって思ってた」
「そんなことなかったよ?」
「んー……」
湊斗君が移動してきて、ころんと寝転びながら僕の膝に頭を乗せた
「なら、ご褒美頂戴」
頼もしく見えたさっきの姿と打って変わって可愛らしくなってしまった湊斗君の頭を撫でる
「んー……」
本当に、撫でられるの好きだよね