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誰も見ないで

第15章 そんな時期


僕は喉を鳴らす猫みたいに心地好さそうな湊斗君を眺めながら、ほっと胸をなでおろしていた


さっき湊斗君が言った通りだ


目指す目標がないと不安だ


だから今、どこの大学で何の勉強をするかとか何にも決まってないけど

そんな状態でも進学って決まっただけで、次に動けるから


よかった


「湊斗君」
「なぁに?」
「ありがとう」


僕の言葉に一度僕の方を見上げて来た湊斗君は次の瞬間にはその顔を綻ばせた


「どういたしまして」


それにつられて僕も笑う


「ところで湊斗君はもう進路決まったの?」
「うん…………一応、進学、かな」
「そっか」


やっぱり湊斗君も進学なんだ

同じ大学にっていうのは、どんな分野に進むかで違うから難しいかもしれないけど

せめてこうして家に一緒にいる時間が少しでも多く取れるといいな


あんまり遠いと通うのも大変ですれ違い、とか嫌だもん


でも大学生は意外と時間あるって言うし
もしろ増えるかな


遠いと思いきや案外近くなって来ていた未来に思いを馳せて、なんとなく楽しみになる


頑張らなきゃ
色々調べたり

しなくちゃいけないことはたくさんあるもん

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