誰も見ないで
第15章 そんな時期
けど、そんな風に心を落ち着けてる時に、周りの女の子達のこそこそ話しが耳に入る
「彼氏と同じ大学にすんの?」
そんな内容につい興味が湧いてしまって
深呼吸を終えてからも集中して資料に目を通すことなく、耳は完全に女の子達の会話を追っている
「それがさぁ、彼氏は自分の入りたいところにちゃんと入れって言うんだよね」
「いい彼氏じゃん。それはあんたのこと思ってるからでしょ?」
「わかってるよぉ。でもさ、同じ大学行きたいって気持ちはあるから……」
わかる
すごくわかるよ
僕は湊斗君がどこに行きたいって考えてるか知らないけど、でも知ってたとしたら確実にそこも視野に入れると思う
幸い僕と湊斗君はそこまで成績は変わらないし
深く頷くのを我慢しながら心の中で深く同意する
「まぁね。憧れのキャンパスライフだよね」
「そうなの! 彼氏と一緒に講義受けたり、校内のベンチで彼氏のこと待ったりさぁ」
「わかる〜」
女の子ってこんなに綿密に大学生活を想像してるものなのか、と感心してしまう一方、自分も一緒に想像してみる
あぁでも、大学は人が多いから、今よりももっと湊斗君は目立つんだろうなぁ