誰も見ないで
第16章 全部知りたいのに
始業式と、必要なプリントを受け取って
帰りのHRの後携帯を開くとメールが来ていた
『校門で待ってるね』
メールの送り主は湊斗君
僕は『すぐ行く』とだけ返信して急いで教室を出た
少し前までは一緒に教室から出られたのに、1人で歩くのはちょっと新鮮
待ち合わせ、なんて
したことあったかな
なんて階段を降りながら思い返して
すごく前に、僕が湊斗君との約束をすっぽかして風邪を引かせたことを思い出してしまった
あの時の僕
何度思い返しても最低だよね
雨の中何時間も、なんて
あの時はこんな風になるなんて思わなかったなぁ
下駄箱で上履きと靴を履き替えると、なんだか周りがざわざわしていることに気がついた
それでもとりあえず湊斗君を探さないと、と校門へ向かって歩くけど、ざわつきは僕の向かっている方向へ進むに連れて大きくなっていて
あ、そういうことだったんだ
校門に行き着いた時に漸く納得した
湊斗君が珍しく校門にいるからこんな風になってたんだ
なんか久しぶりだなぁ
こんな風になってるの
周りに集まっていた同級生も下級生もチラチラ見ては頬を染めている