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誰も見ないで

第16章 全部知りたいのに


「そしたら、国語科の先生と2年生の時の担任が話してたって。海外受験のための準備がどうとかって」


女の子達だけじゃなくて、クラス全体が小さく騒ついている

海外受験する生徒なんて僕たちの学校では聞いたことなかったから


「しかもその国語科の先生今の渡辺君のクラスの担任だよ。それにあのクラス進学就職混合クラスじゃん」


それなら信じちゃうよ


と女の子が続けると、近くにいた別の子が


「原君本当に知らないの?」


正樹君にたずねた

正樹君は悲しげな笑みを浮かべて


「本当に知らないよ。そうだったんだ……秘密にされてるのかな、俺」


俺も海外着いていこうかな、と場の空気を変えるために正樹君が明るく言うと女の子達は笑って


「原君は国内にいてよー」


と少し張り詰めていた空気が緩んだ

僕はそれと同時に自分の金縛りも解けたことに気づいて、何からかわからないけどとにかくこの場から逃げようと立ち上がろうとした

その時丁度先生が教室に入ってきてしまって


「……っ」


大人しく席に戻る


違う
逃げたいんじゃない

今のこのぐるぐるした気持ちを
どこかに吐き出してしまいたいんだ

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