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誰も見ないで

第16章 全部知りたいのに


そのまま少し摩るような動きで慰められて、僕は正樹君を見た

僕の視線に気がついた正樹君は気遣わしげに微笑んだ後


「瑞稀君から聞きづらかったら俺から湊斗に聞いてみるけど、どうする?」


と言った


正樹君ならきっと、湊斗君がどんなに逃げようとしたって追い詰めてちゃんとした答えを聞き出してくれるだろう

でも


「大丈夫です。僕が、自分でちゃんと湊斗君に聞いてみます」


そうやって言いたいこと言えないままじゃ、僕と湊斗君の関係はダメになっちゃうって

ちゃんと学んできたから


これからも長く
ずっと一緒にいたいから

だから


僕がちゃんと正樹君の目をまっすぐに見てそう答えると、正樹君は一瞬驚いたような顔をした後


「そっか、うん。瑞稀君に任せるよ」


と安心したように笑ってくれた


「ありがとう」


そして最後にそうお礼を言ってくれた正樹君は、僕の頭をくしゃ、と一瞬撫でてから離れた

頭に乗った僕より大きな手

でも正樹君じゃドキドキしたりはしなくて
やっぱり湊斗君じゃなきゃって思う


湊斗君じゃなきゃダメだから、湊斗君と一緒にいるために

これからのこと、一緒に考えたい

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